●技術の根底は心
 ゴルフで泣き言を言う者、ゴルフするべからず。ゴルフで上達しようと思わない者、ゴルフするべからず。1打1打を真剣に打とうとしない者、ゴルフするべからず。練習せずして上手くなろうとする者、ゴルフするべからず――東洋経済の記事より
これは、古市忠夫プロの言葉です。雑誌等で知っている人も多いと思いますが、古市プロはあの神戸大震災で全てを失い、唯一焼け跡の車のトランクに残されたクラブを見て一念発起、還暦を迎えてからPGAプロテストに受かった努力の人です。
片山晋吾の言葉も明快です。「引き算をする 同伴競技者でも周りの上手い人でも良いから対象を選ぶ。それはコンペでも良い。優勝者と自分とを引き算してみる なにが足りないかを・・・ その足りないものを得るために練習すること、目標が明確な練習となる・・・。」片山晋吾は学生の頃からメモ魔、何でも書き残して後で反省材料にしていたと聞きます。書くことによって意識が顕在化するんですね。
ついでにもう一つ、ハービー・ペニックという世界最高レベルのレッスンプロの教えにこんなくだりが有ります。「1週間に1回、50球の練習方法、2回真剣な素振り、その後本球を打つ。」たったこれだけですが、心開いて読んでください。多くのものが見えてくるはずです・・・。私は競技に出ていた頃はこの練習方法を取り入れていました。球数は少ないのですが充実した練習になります。また長いブランクがあってもこの方法で練習をするとすぐに元のスウィングに戻り、あまり極端にはレベルを落とさないですんでいます。

つまり、ゴルフは見えるところ(スウィングや球筋)を整えようと必死の手探りで練習しますが・・・、もっと大切な基本的な部分、それは「心」と言う司令部の考え方がとても大事である、ことを言いたいのです。意識(心)が有ってはじめて身に付くものですからね。その意思をないがしろにしていくらやっても徒労に終わってしまうのです。何を目標にした練習か、意識をしっかりするだけで自然に身体にしみ込んでくるのです。
上手くなりたいから、競技でよい成績を残したいから練習をする、至極当然なことです。しかし、多くの人はただ漠然と球を打っているだけ、上手くなりたいという漠然としたものは見える、しかし結果的に自慰的満足になっています。つまり本能的なものに依存してしまい、心が命ずる上達へのプログラムから外れてしまっている場合が多いのです。7キロもあるゴルフコースをただ歩け、と言われても誰でも嫌がる。しかしそれが体力強化のプログラムに組み入れてあり、その効能を説明されていれば、辛くても歩くかもしれません。効果が上がってくれば喜んで歩くようにもなる。意識(心)が後押しするからです。


■バンカーが下手な人、練習をしてますか(近くにバンカーの練習場が無いからやったことがない・・・)
バンカーは理論よりも、どれだけ砂の中から打ったかが重要です。今までのゴルフ人生で一番やらなかっ たのが、バンカー練習でないですか、またそのとおりの結果が出ていませんか。練習さえすれば案外簡単なショットなのですからプログラムに組み入れましょう。
■3パットの多い人、減らしたいですよね(パターマットでやっても実際のグリーンと違うから・・・)
 どうせ行くならコースに一番で乗り込むのです。そして徹底してパターを練習するのです。ラウンドが終わっても風呂に入る時間があったらパターです。実践練習はコースでしかできないのですから徹底してやります。
私はコースに行って午前中は朝からお昼までパター練習、午後からハーフだけ廻ってまた暗くなるまでやっていた時期があります。パター上手はスコアに直結しますからね。
■ロングアイアン打てますか(当たらないからやってもつまらないからやらない?)
 やらないから当たらないのです。最近のコースは距離が長くなっていてロングアイアンが打てないと攻め切れません。せめて4番くらいまでは正確に当たるようになりましょう。(7番、9番ウッドでもコースでは代用できますが打てるようになることが大事です)
■アプローチはどうですか(練習の始まりに身体ほぐしにやりますけど・・・)
 何度でも言います、アプローチの上達がハンデアップの絶対的な決め手です。
■ドライバーの飛距離、充分ですか(非力だから仕方ないと諦めています・・・)
 非力だから飛ばない、と言ってしまったらゴルフはつまらないものです。非力を技術でカバーできるのがゴルフの醍醐味でもあるのですから。

片山晋吾流の引き算をベースにして、ゴルフの上達の為の自らのオリジナルプログラムを作ってみましょう。苦手をいつまでも苦手なままでいると、その場面に出くわすと精神的な圧迫は大変なものがあります。特に競技ゴルフでは自慢の得意なショットがあるより、なんでもごく平均的なレベルの技術を持ったほうがが強いのです。苦手意識を持たないように、今、自信の無いクラブ、ショットを徹底的に修練しておくことです。 
 練習場に行くと、ついつい隣の人の快音につられて、本来の目的では無いドライバーを振り回して、見た目の派手なことにとらわれがちです。まず、達人の言葉や実践例をもとに上達計画を立てることです。そして心してプログラム通りに実行することです。
コースで泣き言を言わない為の時間はたっぷり有るのですからね。