●バックナイン
 後半戦、朝から続いているゲームも残り半分の勝負となりました。昼休み(食事)をとった後の再スタートはいくつかの注意が必要です。まず椅子で長い時間休んでいると身体が固まっていますので、そのまま打つと腰を痛めますので充分ストレッチをしてください。9番なり18番を終了してから、しばらくの間、身体を動かしていなかったわけですからいきなり打つわけには行きません。それなりの準備運動をしてからティーに上がってください。午後からはコースの変化にも気を使うこと。特に夏場はラフを含めてグリーン状態も確実に変化しています。朝7時前に刈ったグリーン上の芝生は半日で1.5〜2mmは伸びるといわれています。実際の対処はその場の状況判断ですが、知識として頭に入れておけば、午前中より転がりが悪くなったような感覚を違和感なく受け入れることができると思います。

 実際の午後の後半戦のゴルフについてよくあるパターンがいくつかあります。前半のスコアが悪い場合には後半で取り返そうという気が誰でも起こります。そういう前向きな気持ちは大事なことですが、方法を間違えると再び朝の二の舞になってしまいます。まず後半はスコア(数字)の目標を立てないことです。何度か言ってきましたがスコアはあくまでもショット、パットの加算された結果的な数値、目標にはならないのです。なにを目的にスタートするかと言うと、「ナイスショット、まずまずショット」「ナイスパット、まずまずパット」の数を1つでも多くすることに集中することです。数字を追いかけない、良いショットをリズム良くつないでいくことに全力をあげることです。「全力」と言ったってマラソン等と違い四六時中気合を入れているわけではないのですから、そんなに苦になることでもありません。自分に出来る、その場での最善のショットをつないでいけば、カップは案外近いものです。
 悪いパターンは、前半の遅れを取り返そうと自分を追い込んでしまい、数字を追いかけすぎて、結果思う様にならなくなった時に道半ばで諦めてしまうことです。仮に数字が追いつかなくても、ゴルフ競技者として最終ホールのカップインまで、ファイティングスピリットを燃やしながらゲームを終わらせることが大事です。「投げたらアカン」「ネバーギブアップ」「一球入魂」があるからこそ「結果オーライ」や「棚からぼたもち」「果報は寝て待て」もあるのですからね・・・。

 もうひとつ、前半良くて後半崩れてしまう場合も案外多いパターンです。これも考え方ですが我々アマチュアは前半後半で5打くらいの差はあって当たり前と思うべきかもしれません。ただそれ以上大きく差が出てしまうのは、やっぱり技術ではなく心(頭)の問題かもしれません。なにがなんだかわからないまま数字だけが余分に増えていってしまう、その場で冷静に対応しなければ終わりまで引きずってしまいます。
 良くゲーム後の一杯飲みながらの反省会は、的確な状況分析の元に自分を省みている人を見受けます。「あの3パットからおかしくなった・・・」とか「○番のセカンド、トップして池に入ってからショットがおかしくなったよ」いろいろ正確に分析しています。そうなんです、後から考えると因果関係、思い当たる節がいっぱいあるのです。でも、終わったあとでは後の祭り、取りかえしがつきません。酒の肴にはなってもゴルフの役には立ちません。ビールを飲みながらのゲーム後の反省を、さっきのミスショットの現場でやっておくことです。現場検証は解決を早め、誰でもゲームが終わる前に原因を突き止めることが出来てそれに対処できる可能性があるのです。経験則から言いますと、多くのミスはショットの技術不足によるものより、状況判断の悪さからくるものがほとんどです。単純なことを見過ごしてしまった結果なのです。
 いくつか例を挙げますが、ティーグラウンド(ティーマークを含めて)はフェアウェイの真ん中を向いていない場合も多く、無意識にティーアップすると方向の問題が起こります。手前ではほんの少し左右を向いていただけでもドライバーの着地地点では数十ヤードの差になって現れます。OBまで行くこともけっして少なくありません。また、平らなフェアウェイに見えても、結構傾斜はあるもの、それに気がつかなくてトップやダフリでペナルティーゾーンに飛んで行ってしまうこともあります。ミスを出してあせってしまうと、そのまま次打に気持ちが行ってしまって単なる技術的なミスとして片付けてしまいがちです。良く観察するとやっぱりはっきりした原因がつかめるものです。それだけで良いのです。原因不明のミスより因果の解ったミスは納得できるからです。自分の腕にばかり責任を押し付けないためにも、ミスはその場での振り返りが大切です。ターフひとつでターゲットへの向きが悪かった事だってわかりますし、ティーグラウンドの芝生の刈り方ひとつでティーアップのボールの高さ(見え方)が変わるのですからね。
 ミスの多くは避けられます。状況判断を怠らないことです。またミスしても、ちょっとした現場検証さえすればその原因がつかめて納得もします。ひたむきな闘志も必要ですが、実戦に参加することによって競技者としての実践力も身に付けていきたいものです。

 この項、バックナインの締めくくりとしてアテストについて書いておきます。ほとんどの競技ではマーカー制になっていますので、スコアカードもマークする競技者と自分のスコアしか書くところがありません。よく普通のカードに全員のスコアを書き入れて、スコア提出時にマークする競技者の分を書き写している人を見かけますが、記載ミスも起こりますので競技用の配られたカードを使いましょう。
 ここで大事なのはスコア以外の数字を書き入れないことです。パット数を書き入れてありえない数字になってしまったこともあります。(スコア4、パット2と書いて42となってしまったことが実際にあります)競技ではトータルスコアは無くても、各ホールの数字がきちんとしていなくてはなりません。ホールを書き間違えて書いてしまうと(例えば5番と6番がそれぞれ3と4を反対に4、3と書いてしまう)トータルで合っていてもスコア誤記で失格になります。慣れないうちは、ホールごとに対象者のスコアを確認して記入してください。相手が確認するのが前提ですが、合っているものとしてサインしてしまう人も多いのです。自分の記入ミスで失格させてしまうと後味の悪いものになってしまいますから最善の注意を払いましょう。もちろん自分のスコアもホールバイホールで確認することはもちろんです。