●さあティーオフ
 いよいよ貴方のティーオフの時間、少し前までにティーグラウンドの横で待機します。競技には最初に儀式があります。ドロー表に基づいて競技委員の前に名前が呼び出され、競技用スコアカードの配布とマーカーの確認があります。自分は誰のスコアを記入するか、誰がマーカーなのかを確認します。競技用のスコアカードはマークする相手と、自分のスコア欄しかないのが普通、4人分書く人がいますが、この際マーカー以外の人のスコアは無視しておきましょう。
 それから、ボールの確認を競技者全員で行います。同じ銘柄、番号だった場合は変更します。競技に参加する時は、ペンで自分の識別マークを入れておくことでトラブルが避けられます。また、同一球ルールがほとんど適用されますので、異なった銘柄のボールは前日までにバッグから出しておきます。間違って使うとペナルティーになります。それから、よく練習場でクラブのテストに持っていって、バッグに入れたままの人がいますが14本以内であるかどうか事前にチェックしておくことです。普通のラウンドなら済まされることが競技では厳格なルールが適用されます。
 さあいよいよ本番、あわててボールを取りに行ったり、グローブをつけたり、ティーがなかったり・・・、ばたばたして流れを止めないことです。自分の番が来るまでは、「スッと立ってポンと打つ」、このリズムを何度も何度も頭の中と、小さなモーションで予行演習をしておきます。これで万全、そして打順が回ってきます。緊張感が漂ってきますが、ここは「お願いします」と言って所作を始めると、自然に競技の中に溶け込めるはずです。とにかく流れに乗ることを最優先します。打つときは余分なことは考えない、ターゲットに向かって正しく立つことだけ、打ったらどんなことがあっても慌てないこと、当たりそこねでも、曲がっても態度に出さない、悠然としていることです。良い流れに乗れるとそのパーティーすべての人が気持ちよくラウンドできます。これが平均点以上のゴルフ、或いは力以上のものを引き出す原動力なのです。

●1番ホール
 無我夢中で何も見えない状態を早く解決しなければなりません。それには次打地点まで歩く中で、できるだけ周りを観察することが一番です。空を見上げて天気や風の状況を見る、フェアウェイ、ラフをただ歩くのではなく芝の状況を足裏で感じ取る、草花や景色を観察する・・・。ボールにだけ心が捉われる「傾注」を避けるために、第一幕の舞台である1番ホール全体を感じ取りながら歩きます。そして自分なりにまとめた状況を自分自身に報告します。「今現在はややフォローの風、フェアウェイの状態は少し硬いのでランが出やすい。ラフは伸びていないのでそんなに苦労はしない、が、林の木々は大きく密生しているので、入れたら横に出そう・・・」等と、できるだけ詳しく言葉に表すことが緊張感を和らげる。競技では、ティーショットの後の2打目のミスが案外多いのは、ティーグラウドの緊張感が取れないまま我を忘れて打ってしまうからです。早く流れに乗るためには、自分の舞台の状況をできるだけ知っておくことです。
 1番ホールは何事もなかったように無難に通過しなければなりません。ここで言う無難、とはセオリー通りに、と解釈してください。もちろんスコアがパーならなお良いのですが、対処、対応がパー(規定)であることが望ましいのです。つまりセオリーにのっとってさばいていくことです。無理、無謀=ギャンブルは避けること、林に入ったボール、前方にわずかな隙間しかなければ出せる方向に出す。クロスバンカーに入ったらターゲットに届かなくても、あごを超える確実なクラブで安全な場所に脱出をする。そんなトラブル処理であってもけっして適当に打つのではなく、しっかりポイントを絞って対処することが大事です。トラブったらその場所がティーだと思ってそこからの組み立てを考えること、対処がよければ流れからは逸脱しないですみます。ゴルフはだんだん良くなるとは思わないこと、次は、その内に、・・・なんて考えは捨てることです。1番で出来なかったら2番でも出来ない。1番の対処がすべてを引きずると言っても大げさではありません。1番だからこそ全知全能を使って、良い流れ、ゲームの流れを作っていく(乗っていく)ことなのです。(最善の対処が、仮にオーバーパーであってもまったく悔いることはありません)