●前半の3ホール
 スタートホールでは、例のラウンドメモを見てしっかりターゲットを狙ったと思います。2番ホールに行くときも事前にメモを見て確認しておきます。ティーに立って仮にメモと違った感じを持っても、その時点で大きな予定変更をしてはいけない。今日はメモに沿って忠実に対応してみましょう。せっかく心に余裕のあるときに作った練習ラウンドでの戦略メモですからね。ただし当日、雨風で練習ラウンドの時と大きく自然環境が異なってしまったときは、足し算引き算で少しだけアジャストする必要があります。
 「流れに乗る」と度々書いていますが、スタートの3ホールがそのキーになります。良い流れを作るいくつかの要点を書きます。

(1)その組のキーマンに付く
同伴競技者の中でよいリズムで回っている人を見つけ出しそのリズムを真似る。リズムが一定の人は余り大崩れしない傾向を持っています。リズムの良い人、上手い人と回ると良い実戦訓練となり、いつの間にかレベルアップにつながっているはずです。(実戦経験は口では教えられないことを学べる)

(2)場違いゴルファーから離れる
その反対で、競技レベルに達していないゴルファー、ばたばたして、アップアップの同伴者に近づかない、同情をしないこと。(同情は伝染する) とかく、未熟がゆえにばたばたし始めると、人は照れとか孤独感から同類を求め近づいてきますので、そんな場合は適当にやり過ごすことです。「自分にもあんな時期があったな、早く競技で楽しめるようになれよな・・・」くらいに思って少し距離を置きましょう。そう思うことができれば貴方は冷静になってゴルフをしていることになります。

(3)自分がばたばたし始めたら
慌てるなと言っても右往左往、冷静にと言っても血が上る・・・こんな経験はあると思います。他の同伴競技者の無言の視線にプレッシャーを感じながら・・・。競技でイージーミスが続くと、普段なんでもないことが、自縛状態に陥って我を忘れてしまう場合が有る。そんな時、私はおまじない代わりに、目いっぱいの素振り(万振り)を数回します。(力を入れて、力を抜くこと) どこでもミスショットしたら目一杯の素振りをする、それをパターン化してあります。人間の身体は力を目いっぱい入れると、その反動で力が抜ける、その原理を利用しています。皆さんもどんな方法でも結構ですから瞬時に我に返る方法を自分なりに考えておくことです。要はちょっとした事で意識どおりに身体が反応しないだけですから、リセットするだけで元に戻るはずです。

 いずれにしても、序盤のゴルフマネージメントがその日を決します。スコアは良いに越したことはありませんが、もしトラぶった場合でも一打でも少なく上がるために頭を使ってゴルフをすること、回りが見えれば流れに乗れる、ナイスショットはなくてもそこそこの当たりでもパーは取れるものです。それから、初めのうちはあまり自分を追い込まないことです。50ヤードのアプローチ「絶対1ピンに寄せる・・・」と考えるのは良いとしても、もし寄らなかったときに「プロだって寄らないときも有る・・・」とサラッと思えるくらいの心の奥行きを持っていたいものです。序盤はターゲットを広く大きく取る、許容範囲が大きいほど心に反動がありません。  
 私がプロたちと一緒に回るとよく言われることがあります。「宇野さん、楽にゴルフをしていていいよね、全てのショットがノンプレッシャーでしょう・・・」「プロはピンポイント、私の狙いはゴルフ場ですからね・・・」これがコツなのです。出だしの3ホールは特にターゲットを大きく取り、意思(ターゲット)と身体(スウィング)とのバランス確保に集中して、良いスコアよりも大叩きしないことです。2番が終わったらまたメモを見て、次のホールの準備に取り掛かる。もう何回も回ったコースのように事前に心の準備をしておきます。

 前にも書きましたが、その組全体の流れがいいと全員のスコアも良くなるものです。ここで少し話は外れますが、競技の参加資格について考えます。基本的にその競技に制限がなければ誰でもエントリーができますが、関東アマや全国クラスの大会になるとHDCP制限もあります。誰でも参加できる競技会にしても、それなりにレベルアップして臨みたいものです。スクラッチ競技ではカットラインが76〜7ストロークくらいなら、平均スコアがそれの10オーバーくらいが競技レベルの目安だと思います。もちろんそれ以上でもなんら問題はありませんが、目標も無く、練習もしないで、ただ参加するだけでは他の予選突破を狙う参加者に迷惑をかけたり、場違いゴルファーとして無視されかねません。競技初心者は出る以上練習を積んで、そしてマナーを守り、その組の流れを止めないように努力すること、それがグッドゴルファーの入り口なのです。

前半の3ホール、まとめておきます。
@スタートホールはメモを見てターゲットの再確認、打順がきたら声をかけてリラックス
Aトラブったら安全策、ミスを受け入れてボールのあるところから再スタート
Bキーマン、未熟者の判断をして今日の18ホールの伴侶を見つける(途中で変更可)
Cターゲットを大きくとり、流れに乗ること

以上、意識的に心がければ前半3ホールは無難に切り抜けられるはずです。
これでパッティングがよければ、そこそこのスコアも期待できます。家でもできるパッティング練習、競技を目指すならパターの練習も必須です。やればやっただけの効果もあり、即効的に上達するのは5〜60センチのパッティングです。競技においてはこの距離が入るかどうかが当落を決します。飽きるくらい練習して自信を持ちましょう。短い距離はセンス(天性)ではなく、技術(修練)ですからね。