●前半の上がり3ホール
 ゲームの緊張感の中でいよいよフロント・ナインも残りホール数が少なくなってきます。多くの競技形式としてアウト、イン両方からスタートすることがほとんどですが、特にインスタートの競技者はこの前半であっても残り3ホール(16、17、18番)は他のホールより重みがあります。ほとんどの競技は同スコアだった場合カウントバック、或いはマッチングスコアカード(10-18、13-18、16-18番の順でそれぞれ良いほうのスコア)形式で順位の決定をします。参加人数が多いほど同スコアは出ます。予選通過者はスコアではなく人数制限なので、同スコアでも当落があります。だから16〜18番ホールはとても大事なホールなのです。(特に18番) そうかと言って簡単にスコアメイクができるとも限らないので、意味のあるホールだという意識だけは持って立ち向かうべきです。意識を持って自分の出来ることでホール攻略を考える・・・ターゲットに集中する、ギャンブルをしない、無意識に打たない、あきらめない・・・、単純なことですけど避けられる事は避けておきたいのがこの3ホールなのです。競技会では全神経を集中して18番を攻略しなければなりません。1打の重みを本当に感じる場所なのです。ティーに立ったら打つことよりも、例のメモです。冷静になってターゲットを再確認し、なんとかしてパーで上がりたいものです。どんな状況下でなっても大叩きしないコツは、パートナーと1ボールダブルスをやっていることを思い出すこと、次打にいたわりを持つことでゲーム運びは進化していくものです。

 なんでもない状況でミスをしてしまうのには原因がある。技術的なことより多くは考え方、気持ちの問題なのです。ショットや弾道のイメージが無いまま打ってしまったり、あるいは無造作にボールだけに対峙してしまって(目標ではなくボールがターゲットになっていて)いい球だったけど行ってはいけない方向に飛んでいったり・・・。ゲームのたびになんでもないミスをする人は、単純に技術不足(下手)、と自分を低い位置においてしまいがちですが絶対にそうではありません。ハンデ相応のミスをして多く叩くことを技術的な解決策のみに活路を開こうとするとゴルフはつまらないものになります。実際にハンデ15の人と上級者のショットを比べてみても、見た目ではっきりわかるほど大きな違いがあるわけではありません。何年も進歩が無いのはゴルフに対する思考回路に問題あり、と思ってください。(そう思わなければ上手くなるためにやってきた練習代がまったく無駄になる)ゴルフは耳と耳の間のスポーツ、と言われるように頭を使うことを要求されているのです。スウィングはとても大事な要素ですが、単純にスウィング=ゴルフでもないのです。
 ミスで自滅してしまう今のゴルフを、技術不足として片付けてしまうのはもう少し後にしましょう。今の技量でスコアアップが図れるのかどうか考えてみるのも無駄ではありません。今までさんざん使ってきた腕力に思考力や感性といった別次元の要素をミックスしてゴルフを組み立てて見ましょう。

 ミスの大きな原因でもあり、ゴルフを壊してしまう要因は無意識に単純にボールを打ってしまうことです。意図のないショットは絶対避けなければなりません。なぜそうなってしまうのか? 以前ブームになった書物で「ゾーン」という言葉がクローズアップされました。「ある無意識のポジティブな領域に入ってしまい、全てあれこれ考える必要も無く、ごく自然に思考と体力(スウィング)が一体になって、成すこと全てが上手くいっている・・・」と言うような意味です。私はそのようなゾーンに入ったことはありませんが、そのような事象が起こりうるだろうという理解はできます。これは良いほうの例えで、その反対側もあるのです。「無意識に全てをネガティブに思考してしまい、やること成すこと全てミスを招く・・・」ここでキーワードになるのは、無意識・・・です。無造作とも言えるかもしれません。たった一回の無意識、無造作のミスに対する心の動揺が、ずっと後まで残ってしまうほどゴルフはメンタル面が支配します。意識していれば避けられるミスだからこそ、無意識を悔やむのです。50センチの無意識のミスパットから重度のイップスにかかり選手生命を絶たれた人もいます。誰でも頭の中では1打1打を集中して大切に・・・と思っていますが、現実は程遠い現実、状況判断もなされないままのミスがとても多いのです。「右を向いていたよ、向いたほうに飛んでいったね」とか「左足下がり気が付かなかった、トップすると思ったよ」とか他人が見てそのとおりになること多いですね、自分だけ気が付いていないだけなのです。

 私のゴルフ、参考になると思ったら一度試してください。私はゴルフをするときいつももう一人の影の相棒がキャディをやっています。それはもう一人の自分であったり、よく一緒にやる同レベルの仲間であったりします。その相棒といつも会話(ぶつぶつ言ったり、心の中でしゃべったりしながら)をしながらゴルフをします。「向き、合ってる、力はいってない?」「方向、構え良し!」に始まって「7番、8番どっち使う?」「うー、今日はあたりが出てるから8で届くよ」とか「刻む、それとも狙う?」「ミスってもペナルティー無し、ここはバーディーほしいから狙おうよ」とか、グリーン上でも「まっすぐ、少し曲がる?」「なに迷ってんだよ、強気でまっすぐだよここは」・・・とか、たえず意識を顕在化しています。一人芝居でもやってみると決して悪いほうのゾーンには入りにくくなるものです。少なくてもショットやパットの意図ははっきりするし、ターゲットやスタンスのチェックはできるはずです。少なくても単純なスウィング以前の問題でミスをしたくないですからね、かといって人に解ることでも中々自分で気が付かないことが多いわけですから、自分で自分を観察するしか方法はないのです。その方法の一つとして「プロキャディ付きゴルフ」をしています。